真生会館たよりvol.1「4つの柱(講座紹介)と参加者の声」
■真生会館の4つの柱
真生会館講座には四つの柱があり、それぞれの趣旨に沿って企画され、多彩な講座が開講されています。
Ⅰ.現代人の生き方、社会を考える
現代社会のありようについて学び、その中での人間の生き方を考えることを目指しています。学識経験者や有識者たちを講師として招き、現代の日本社会や世界の状況とその問題点についての認識を深め、希望の光を探し求めていきます。
「土曜講座」などの社会に目を向けた講座があります。
Ⅱ.キリスト教の光に人間の生き方を求めて
迷い、悩み、傷つき、苦しむ人々についての理解を深め寄り添うことを目指します。精神科医、カウンセラー、宗教者などを招き、心病む人や悩み苦しむ一人ひとりに対する理解を深め、一人ひとりに希望の光を提示することに務めます。
「日曜講座」などの人間の生き方に焦点を合わせた講座があります。
Ⅲ.キリスト教文化、教養
キリスト教を背景とした多様な文化、教養を学んでいきます。読書会やキリスト教美術の鑑賞や映画鑑賞・音楽鑑賞・コミュニケーションの深め方などにより、人々に静かな時間を提供し、心の癒やしと慰めの場・心の豊かさ育む場を企画・提供します。
「音楽」や「美術」などの豊かな芸術文化を味わう講座があります。
Ⅳ.キリスト教の源泉と遺産
聖書やカトリック教会の伝統から現代を照らす希望の光を学びます。 時代を超え、地域を越え、民族の枠を超えて2千年の間人類を照らし 続けてきた聖書と、聖書に基づいたカトリック教会の伝統・教義などの学びを介して、一人ひとりの人生を支え、日本社会並びに世界を照らす光を探し求めていきます。
「聖書」や「キリスト教哲学」などの信仰の遺産から学ぶ講座があります。
■参加者の声
講座受講者より感想をいただきました。
真生会館は、私に生きる力と光と歓びを与えてくれる、いのちの源です。
「初心者コース」講座では、「つながる」を体感しています。
キリストが人間の最終的な助け手であることを語り続けている「聖書」、人間の常識を超えて神の愛の力を示した「十字架」、弟子たちと人々の魂をつき動かした「復活」、自分の深いところに潜む真実の飢え渇きから発する「信じる」等々、ひとつひとつの事柄について、受洗後40年間、読み、聞き、体験してきたことがこの講話でひとつにつながり、腑に落ちていくのです。宝物を得たような喜びと共に、キリストの心である「ありのままの存在」で在することと、全てを「ありのままの存在」として受け入れることの、深さと重さと難しさを受け止めています。
キリストと出会ってキリストと共に歩む喜びに生かされながら、今自分が生きている現代社会にキリストの愛を伝えられているのか。周囲にいる人々をキリストの心で受けとめられているのか。自分自身の在り方が問われます。(高島 佳子)
荻野弘之先生の講座「キリスト教古典を読む」の参加者は、哲学、宗教学、史学、神学など様々な学問分野を専攻する大学院生・学部生、信仰を深める場を求める信者の方や人文的教養としてキリスト教思想を学ぼうとされる未信者の方など、極めて多様です。
このような多様な参加者の方々と学びを共にするなかで、深い祈りと思索から生み出された「キリスト教古典」は、学知、霊性、人文知といった様々な欲求に応えており、現代にあって教会の外に向かって対話的に発信する力を秘めていると感じています。
私は、大学院でギリシア教父というキリスト教思想家の研究を専門にしており、直接的には学問的な学びをしたいという動機から講座に参加させていただきましたが、荻野先生の講座から、人生をより深く見つめる視点や自身の信仰的問題に響く気づきを受けました。
現在、荻野先生の講座では全22巻あるアウグスティヌスの『神の国』を毎週1巻のペースで読み進めています。キリスト教古典を自分で読み込んでいくことは容易なことではありませんが、荻野先生は、明晰な講義でそのテキストの核心に触れられるように導いてくださっており、こうした貴重な学びの場に感謝しております。(山根 息吹)
純文学と言われている”沈黙””侍”。糞尿の言葉が多く、これも文学なんだろうかと嫌悪感を持ちつつも読んでしまう”ユーモア小説集”。心理小説のスリラーに分類されている”真昼の悪魔”。この”真昼の悪魔”は心の中に潜む善と悪の判断基準が変わった時、私たちの社会はどう変わってしまうのかと問われている様でした。また、善人であるがゆえに悪魔に憑かれやすいという言葉も頭の中をよぎりました。それは、2年前の相馬原Y園での殺傷事件とこの本での女医の心理描写とが重なり、あまりにもリアル過ぎて身の毛のよだつ恐怖心が先行して一気に読破、鳥肌がたつほどの動揺はありましたが、色々な顔をもつ遠藤周作を知り始めた時でもありました。
遠藤周作、いや、狐狸庵先生には「本物が分かる大人の味」のイメージがあります。この機会に遠藤周作を少しでも理解できるように、これからも金承哲教授の講座に参加していくつもりでいます。また「遠藤周作を読む会」を設けて下さった真生会館に感謝しています。(栃木 志津枝)
わたしは評議員を仰せつかっていることもあり、現代社会を振り返る土曜講座にはできるだけ参加しています。2016年の会館再開以降、いのち、原発、医療、貧困、家庭といった現代社会の諸問題に毎期、テーマを絞って、各回入れ替わりで、研究者、ジャーナリスト、NPO代表者など専門家の皆さんのお話をうかがいます。2018年春学期は貧困、労働者、高齢者などの福祉政策が専門の結城康博さんの講座を聞かせていただきました。ともに、高齢者の貧困問題に焦点が当たっていて、わたしたち聴衆は、自分や親の問題に引き入れて考えたり、また中には職業としてそうした問題にかかわっている方もおられ、いかにこの状況の中で生き延びられるか、いろいろな知恵を得ることができたと思います。秋学期、また楽しみです。(有村 浩一)