講座開催レポート

講座

真生会館たよりvol.2「真生会館のこれから 皆が集う場を目指して」「寄附への感謝」

土曜講座での分かち合い風景

■真生会館のこれから 皆が集う場を目指して

作家の町田康が十年ほど前「太宰治とキリスト教」について書いたコラムが印象に残っています。太宰治がキリスト教に関心を持ち続けたことを綴っているコラムでした。
特に興味深かったのが、町田康自身がキリスト教に強い関心を寄せていて、自身のキリスト教観を例えで語った部分です。

キリスト教とは

彼は「アパートに同居人と住んでいて、部屋が散らかっている時に、相手に向かって『散らかすな。片付けろ。』という前に、まず自分から部屋を片付けるのがキリスト教だ。」と言うのです。
この考えには、賛否それぞれの意見があるでしょう。でも、興味深かったのは「他人に変われと言う前に、まず自分が変わること。そして自分から行動すること。」をキリスト教のポイントとして挙げていたことです。「回心」という言葉が使われるように、信仰はまず神に心を向けることから始まるともいえます。
最近町田康は、太宰治生誕百十年にあたって、作品サイクルが、
苦しみに向き合う→道化を演じる→キリストに自己を重ねる→理想通りにいかず逆ギレ
というパターンを繰り返していると提唱しています。
太宰治はイエス・キリストに強い「あこがれ」を持ちながら、キリストに従えない苦悩を作品に昇華させていたのかもしれません。

キリストに倣いて

真生会館の創始者である岩下神父は、「キリストに倣いて」を愛読し、自身の生き方がキリストに倣う歩みであるように、いつも心掛けていました。そこには強い「あこがれ」があったのではないでしょうか。それが、東大での中世哲学学科設立や教授の道ではなく、司祭の道を選ぶ力となったのです。そして、その歩みの中で日本社会に向けた様々な活動があり、それが現在の真生会館にもつながっているのです。
イエス・キリストの語ったことは、とても簡単なことです。けれども、自分が実行するとなるととても難しいことでもあります。だからこそ、自分自身が少しずつでも変わっていくことが必要なのでしょう。真生会館が、自分が変わっていくことを手助けできる、そんな場になっていけるよう、皆さんのご協力をいただきながら歩んでいければと願っています。

館長 大木 聡

■寄附への感謝

皆さまが真生会館を助けてくださったことにより、新建物の開館から三年目を迎えることができました。この間、講座や活動に参加してくださり、ありがとうございました。
これからも真生会館の設立目的を果たし運営していくためにも、安定した経済的基盤が大切となります。そのため、広く寄付の呼びかけを行なっています。定期的なメインテナンスや計画に従って設備の更新を進めることなども重要です。
また、参加者の負担を増やすことなく、豊かな内容の講座を提供するためには、講座費用への援助も必要になります。さらに、学生の国内外での活動や育成を支えるためにも、裏付けとなる資金を充実させることも課題です。
すでに多くの方が呼びかけに応えてご寄付くださり、感謝いたします。ご趣旨に従い真生会館の未来に向け、有効につかわせていただきます。これからも真生会館の活動に、ご協力をよろしくお願いいたします。

理事長 森 一弘

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真生会館たよりvol.2「自分を愛し、自分へと生きる」「真生会館の講座紹介」「真生会館の思い出」